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 トップページ > 調査研究コラム > #058 福島盆地の前期古墳 (2017.6.12)

 
 このコーナーでは、職員が行った調査研究の成果について掲載しています。

#058 福島盆地の前期古墳 青山 博樹

◆はじめに
 福島盆地は前期古墳の空白地帯である。
 図1は、東北南部における前期古墳の分布を示した図である。宮城県と山形県以南の主要な平野部にはいずれも前期の大型古墳が確認されているものの、福島盆地だけはいまだ前期古墳が確認されていない。中期の大型古墳としては福島市の稲荷塚古墳や八幡塚古墳国見町の国見八幡塚古墳など、後期の大型古墳としては福島市の上条1号墳などが知られ、古墳時代前期にも集落遺跡(福島市勝口前畑遺跡など)や墳丘をもたない埋葬施設は知られているので、福島盆地にも未知の前期古墳があるに違いないと考えている。
 ここでは、筆者がひそかに前期古墳の可能性があるのではないかと考えている古墳について書いてみることにしたい。

図1 東北における前期古墳の分布
(青山1998から転載)

○で囲った箇所に前期古墳が確認されている。
この図を作成した時点では山形盆地と庄内平野に
前期古墳は未確認であったが、
その後の調査で両地域にも前期古墳の存在が
確認されている。
このころは、ロットリングとスクリーントーンで
図を作っていた。

◆福島市宮ノ下古墳
 前期古墳の可能性を考えている古墳は、福島市永井川字宮ノ下に所在する宮ノ下古墳である(写真1~3)。息栖神社の境内にあり、墳丘上にはこの神社の社殿が鎮座する。この古墳の墳丘で壺とおぼしき土器の小片がまれに採集できることから、前期古墳の可能性を考えている。
 この宮ノ下古墳で注目されるのは、社殿がのる高い墳丘の東側に一段低い前方部のような高まりがあることである。そこには石碑が建てられるなどしていて改変が大きく、確証はもてないものの、これが前方部だとすれば全長60mほどの前方後円墳か前方後方墳の可能性がある。

         写真①

      宮ノ下古墳の状況

 


写真②

宮ノ下古墳

(昭和44年に刊行
福島市史に 掲載
された写真)


写真③
宮ノ下古墳の現状
(前方部?側から)


◆福島市本方木田古墳
 気になっている古墳はもう1基ある。福島市方木田字本方木田にある本方木田古墳である(写真4・5)。国道115号線のすぐわきにあり、略測で35mほどの円墳である。現在、墳丘は墓地に利用され、周囲には畑が広がる。
 土器や埴輪が採集できないか何度か足を運んでいるが、壺らしき土器片を一片拾ったことがあるだけである。

写真④
本方木田古墳の現状


写真⑥
本方木田古墳
(昭和44年に刊行された
福島市史第6に掲載されている写真)



◆さいごに
 宮ノ下古墳と本方木田古墳は、いずれも福島盆地の北部に位置する。これらの古墳が前期古墳だとすれば、2基の古墳からなる古墳時代前期の首長墓系譜の可能性も考えられる。
 いずれにしても、時期を検討できる材料は現状ではほとんどない。これらの古墳にはこれからも足を運んで時期を検討できる材料を探してみることにしたい。

引用・参考文献
青山博樹 1998 「土器①東北南部」『前期古墳から中期古墳へ』第3回東北・関東前方後円墳研究会発表要旨資料
福島市教育委員会 1969 『福島市史』第6巻 原始・古代・中世資料(資料編1)


 

 

        
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